犬と猫…ときどき、君


「……っ!!」

転ぶ!!

足がもつれ、バランスを崩した私が、地面に倒れ込みそうになったその時、

「胡桃っ!!」

突然大声で名前を呼ばれて、すれ違いざまに腕を掴まれて。

驚いて顔を上げた。


「……どうした?」

「……」

「胡桃?」

「さ……とる君?」

「あぁ」

「聡君……聡君っ!!」


もう、何もわからなかった。

全部がぐちゃぐちゃで、悲しいとか、悔しいとか、寒いとか、痛いとか。


自分がどこにいるのかも、何でここに聡君がいるのかも、今がどういう状況なのかも。


でも、ただ一つだけ。


「胡桃」

「聡君……っ」


一つだけわかったのは。


「大丈夫」

私の髪を撫でる聡君の手と、

「大丈夫だから、落ち着け」

私を抱きしめるその腕の中が、とっても温かいという事だけだった。