何をどう断ればいいのか、ない頭で必死に考えた。


ちょと待って、考える時間を下さい。


「武井さんを人事課に連れて行くように。後は会社案内と、清水建設の仕事内容を教えてほしい。」


だから、待って下さい。


えっとですね。


「承知しました。」


本当に受付嬢になる訳。


まだ、諦めたくない。


最後の悪あがきを試みた。


「私は30才なんです。受付嬢は若くて綺麗な人がやるべきではないでしょうか?」


大声でそう言った私に社長が笑い出した。


笑える話。


なんでそんなに笑われてるのか、分からない。


「武井さんは30には見えない。名札に年令は書かないから心配しなくていいよ。」


そんな事聞いてるんじゃないんです。


30才の受付嬢は恥ずかし過ぎると言いたいのに。


上手く伝えられない。


「武井さん行きましょう。」


無理矢理織原さんに手を引かれ、社長室を出た。


織原さん、手が痛いです離して下さい!


「社長の知り合いだか知らないけど、いい気にならないでよ。」


織原さんの態度がガラリと変わった。


これが本当の織原さんなんだ。


何んだか、笑えてきた。


ケラケラ笑う私を織原さんが睨む。


怖いです。


綺麗な顔が台無しですよ。


心の声が出ちゃいました。


綺麗な顔で睨んだ顔が円香の顔と重なった。


怖すぎです。