「…様。…く。」


聞き慣れた声が、微かに聞こえた。


「早時様?水菊?
どちらに居られますか?」


羽琉が私たちを探している。


早時様は、名残惜しげに私の頭をポンポンと叩いた。


「行こうか。」


早時様が、ため息交じりに言う。


私は頷いた。


羽琉の姿がこちらへ近づいてくるのが見えた。


私はなんだか安心して、ほっとした。


羽琉も私たちに気づいたようで、こちらの様子を伺っている。


そんな羽琉と目が合って、私はニコッと口元が緩んだ。