舞い散る雪が、銀色の髪の上で静かに溶けた。


今まで誰も居なかった空間に、突如現れた人影。


音もなく、ふっと現れた人影は、平安時代を思わせる緑色の衣装を着ていた。


その姿は一見、人に見える。


でも誰が見ても、人間ではなかった。


黄色い角が、銀色の絹糸のような髪を押し退けて生え、爪は鋭く長い。


目元は朱色で縁取られ、瞳は金色をしている。


ため息が漏れる程に美しい、妖艶で中性的な顔立ちをした若者なのだが…。