早時様の砂に埋もれた何かが目に止まった。


私は、近づいて砂の中からそっと拾い上げる。


「首飾り?」


革ひもで丁寧にくくられてある、少し黄ばんだ小さな白い欠片。


いつの間にか隣に来ていたタケルにも、手のひらのそれを見せた。


「何だ?…骨?」


―そうよ。私の骨。あの方はずっと私を身に付けていて下さったの―


―よかった。早時様はやっと私への想いから解放されて、楽になれたのね―


どこからともなく、水菊が語りかけてくれた。


私は、ちょっとだけ救われた気がした。