千年の追憶【完】

人ってこんなにも変われるモノなんだろうか。


すごいな。


「羽琉。水菊の所へ行ってみないか?
また泣いてるんじゃないかと、心配なんだ。」


仕事中の羽琉の都合も考えず、俺は羽琉を誘って、足繁く水菊の元を訪れていた。


「まったく…。
早時様は心配性ですね。
水菊はあっちで、ちゃんと仕事していましたよ」


そうは言っても、羽琉はいつも苦笑いで、俺に着いて来てくれる。


単に水菊に会うための口実なんだって事は、羽琉にはバレバレだったんだと思う。


こんな分かり易い嘘にも、羽琉は付き合ってくれた。


俺は三人で、他愛のない話をして笑い合う時間が、無性に楽しくて心地よかったんだ。


「どうしたんですか早時様。
もしかして、今日も私の様子を見に、いらして下さったんですか?
お気持ちは、とっても嬉しいですけど。
私もう、12歳なんですよ。
いつまでも泣いてなんか、いませんよ。」