タケルも私に視線を移す。


タケルは相変わらず、複雑な表情を浮かべている。


とても困惑しているみたい。


そりゃそうだよね…。


あまりにも目まぐるしく進む展開に、私の思考回路もついていけてない。


早時様の思い通りに、事が運ばれているのかな。


「さて、俺達は学校を抜け出したし、羽琉にもここへ来てもらった。
役者は揃ったな。」


嬉しそうに早時様は、朱色に縁取られた瞳を細めて微笑んだ。


少し含みのある笑み。


どんな表情をしても早時様は、やはり美しく…そして妖艶だった。


鬼の姿をしていても。