「でも、優輔は雪だるまってガラじゃないしなぁ」
「おいコラ」
「もうっ、冗談だよ!」
一緒に作ろうね、とスキップをしながら言う凉菜。ガキみたいだなとつくづく思うよ。
早いもので、あと1週間もしないうちに凉菜は大阪へ行く。
こんなにキャッキャッ言ってる奴が、本当に引っ越すのか不思議なくらいだ。
夢であってほしい。
何度、願っただろう。最近の夜はずっと凉菜のための時間になっていた。
いくら願っても、引っ越しが変わることはないのにな。
だけど今の俺なら、胡散臭いおまじないにも興味を示せそうだ。
何としてでも、未来を書き換えてやりたいんだから。
「えいっ!」
自分の中の自分と戦っていると、冷たいものが顔を掠めた。
「へっへーん、ボーッとしてた罰だよ♪」
冷たいものとは…霜だった。