「どこが痛いんだ?」 「…あ……たま…」 先生が私を起こそうと揺するからですよ。 いつもなら、そう悪態を吐いてやるところだけれども。 必要以上に声を発したくない。 先生が慌ててる気がするから、目を開けて見てやりたいし、笑ってやりたいけど、それすら億劫だ。 「お前、熱があるだろ?」 私の額に触れた先生の手は、前は温かく感じたのに、今日はそれすら冷たく感じた。 「……き…もちー……」 その冷たさが、気持ちいい。 「佐藤、大丈夫か?」 “全然大丈夫です。” 伝えたくても、伝えられない。