やっと返してもらえた、と気を抜けば涙が出そうだ。 「だから、泣いてないです」 そんなの、強がりだ。 きっと先生にはバレている。 それでも、先生は知らないフリをしてくれるから。 「そのピアス、よくお前に似合ってるよ」 先生は、私の頭を撫でながらそう言った。 「…せんせ…」 イチゴの甘い匂いが、やっぱり私を素直にさせる。 「…ありがとう。」 先生はフッと、笑った。 こんな私を笑ったのだろうか、と思ったけど、自分でも笑ってしまうだろうと、自虐的な気分になった。