キィッと椅子が鳴いたと思えば、私の左耳に髪がかけられた。 「えっ…」 「おい、動くなって」 私は足元を見つめたまま。 先生は立って、私の左耳の耳朶に触れている。 「…ひゃ…っ」 先生の温かい手から、何か冷たいものが耳に触った。 「よし、いいぞ。」 先生はそう言って椅子に座り、私の顔を覗き込んだ。 「校則違反、次は見過ごさないからな。」 自分で左耳の耳朶に触れれば、あのヒヤリとした物の正体は、私のピアスだった。 「だから泣くなよ。」