「今になって思えば、心無くす一歩手前にいたのかもな」





ハハッと乾いた笑い声が響く。




「たぶん、俺が心までは無くさなかったのは、恒哉のおかげかな…」






鈴本先輩…?





「恒哉はなぜかわからないけど、いっつも俺に着いてきて…。西園寺が狙いかって聞いたら、西園寺だったのか!?って驚いて…。俺、華道の家元の鈴本。よろしくって……コイツなら、信用できんじゃねぇかって思った」






颯斗の心の支えは鈴本先輩だったんだ…





「それからだな…恒哉のほかに麻耶や蓮華、一樹とかと仲良くなったのも…。でも、優都とは微妙な距離のまま近づけない。結局、お父さんとは呼べずじまい」






鈴本先輩のおかげで颯斗には信頼できる仲間ができたんだ。





「だから、俺は優都って呼んでるの。…泣くなよ、美琴…」





テーブルの向こうから手を伸ばし、あたしの涙を拭う。