「それじゃ玲子、いつか俺といっしょに美味いもの出す店やろうぜ」



玲子の顔をのぞきこんでそう言ったのは、まだ15歳の誠だった。



 湘南の海に恋をして、中学卒業と同時に故郷を飛び出してきた誠は、その頃、

鉄平の友人が経営する居酒屋に住み込みで働きながら、

休日ごとにパンチアウトにやってきてはサーフィンで汗を流すという生活を送っていた。



「うん、絶対ね!」



 まだ髭もないつるりとした頬の誠は、この日無意識のうちに、2人の未来を予言していた。



 誠はもちろん、幼い玲子だって、この冗談が形になる日が来るなんて欠片も想像していなかったのに。