「最悪だと急性アルコール中毒だ。

飲んでいくらも経ってないみたいだけど、

吐けないようなら、救急車呼ぶしかない」



 そして意識のない栄治を軽々と背負うと、床に転がる空のボトルを顎で指す。



 いつもカウンターにディスプレイされている、

玲子と誠の思い出の酒、アクアマリンの色をしたボンベイ・サファイヤ。



 3分の1は残っていたはずの中身は、見事に空になっていた。