居酒屋で待ち合わせを提案したのは友美で、初めはサワーを飲んでたのに。いつ注文したんだろ?

すると隣の席の人がチラチラこちらを見て苦笑いをしてるのに気がついた。
きっと友美の剣幕に驚いて見ているのだろうと思っていたんだけど…。

「すみません。それ…。」

指を差したのは友美が手にしたビールのジョッキ。

…え?

「あの…もしかして、これ…」

黙って頷き、くすっと笑う彼に深々と頭を下げた。

「ごっ、ごめんなさい!やだっ、友美。違うよ、それ。お隣さんのビール…」

「やん!何すんの。咲もビール飲めば?頼んであげる。すみませ~ん!」

すぐにやって来た店員さんに頼もうとする友美を制止して、お隣の彼に新しいジョッキを頼んだ。
そして無理やり友美を引っ張って店を出た。

外は日が沈んで大分時間が経つ。
ひんやりした空気が一気に酔いを覚ました。