「二人の間に割り込むのは無理だ。」

「ふん!だらしないわね。すぐ諦めるなんて。」

「見てわかんないのかよ?割り込んで、がっちり二人の気持ちを固くさせただけだろ。」

「それが何?私は彼が欲しいの。いけない?」

「何をそんなにムキになる?本当に好きなら相手の気持ちもちょっとは考えてみろよ。」

「嫌よ!…咲は何でも持ってる。両親の愛情も…優しい幼なじみも…水泳の才能も…私にはないものをたくさん持ってるじゃない。一つぐらい分けてくれたって…」

「…一文字はミッチが思ってる程、幸せにどっぷり浸かってないよ。」

「…どういう意味よ?」

「詳しくは知らないけど両親はいない。
水泳もたまたま面倒見てもらってる人に教えてもらっただけだろ。
才能がどうとかよりあいつの努力を見てないのか?
無い物ねだりで人から奪うんじゃなくて、自分で見つけろよ。」