「……ここ、か…」


ブォンッ、と音をたて止まった場所は克の言った"思い出の場所"。

あの日から来ていなかったけど…今はまた仲間が沢山いる。


伊折がいなくなった時、世界から私一人が離れたような気持ちで悲しさと悔しさ、そして憎悪しかなかった。


でも、今は沢山の信頼する仲間がいて私は今ここに来ている。


「…克はまだ、か…」


そう呟き煙草に火をつけ白い煙を吐き出す。


「…もうすぐ約束の時間だ」


傍にきた大雅の言葉にコクりと頷けば前方が明るくなりバイクの音が鳴り響く。


「…来たか、皆…頑張ろうね」


後を振り向き言えば力強く頷く皆に安堵し再度前を向く。


ブオンと音をたてバイクが止まれば私の目の前に立つのは口元を緩ませる克の姿。


「……久しぶりだな、蓮南」

「…気安く名前を呼ぶな…」

「…あ?兄貴に向かって何だそれ?」

「……ッッ…お前のせいで、伊折が…ッ」

「ああ…あいつか、へえ…そんなんなってんだ……良いことじゃん」


克の口から出た言葉に、俯いていた顔を上げ勢いよく顔面を殴れば後に吹っ飛ぶ克。


「…私はお前なんか兄貴と思ってない…伊折の事は絶対に許さない」

「ははっ…それでいいんだよ」


その言葉を合図に喧嘩が始まれば後にいる皆にも克の傘下の奴らが向かう。


「お前強くなったな…」

「…そっちも、ね…」


お互いの蹴りをうけ顔を歪めながら話すなか不意に後で小さく呻き声が漏れる。


「…ッッ…千鶴!!」

「大丈夫だよ…蓮南、前ッ!!」


千鶴の方に一瞬気をとられ克の蹴りを左腕にうけ数歩下がる。


「…まさか兄貴と殺りあうなんてね…」

「そうだな、だが…俺にとってこんな最高な宴はねえよ」


笑い声を上げながら答える克に、妖しく笑みを向け鳩尾に勢いよく蹴りをいれれば小さく声を上げ後に倒れる克。




「…お前に、また負けんのか?」

「………さあね」



上半身だけを起こし俯いたまま力無く呟く克をただ傍観者のように眺める。



暫し無言のまま見つめていれば克の肩が小刻みに震える。


今、克がどんな表情をしているかなんて分からないけど。


――…きっと克は



「……何が可笑しい?」


笑っている――…