こたつに入りながら、みかんの皮をむく。 ふいに足を伸ばしたら、誰かの足にぶつかった。 「これ、誰の足?」 視線をテレビに向けたまま、みかんを一房、口に放り込む。 「お父さんですぅ」 日本酒を飲んで、できあがりつつある父がにやりと笑う。 「サイアク」 思わず足を引っ込めた。 「足が当たったくらいで、最悪はかわいそうでしょうよ」 そう言って、母は湯呑にお茶を注ぐ。 そんな会話をよそに、 「しばらく演歌続くから、今のうちに風呂入ろ」 中学生の弟が立ち上がった。