『別れよう』って。
そんな言葉を聞くくらいなら、死んでしまいたい。
それくらい。

それくらい好きだった。

「頭、痛いか?」
「…」
「吐き気は?」
「…」
「水、飲めよ」

って、水と薬を手渡される。

「写真…」
「えっ?」
「待ち受けの写真。あの笑顔みたいに笑ってみ?」

そうだ。
3年も付き合ってたら、あいちを思い出すものは沢山ある。

付き合った記念に撮ったプリクラ。
付き合って1年の記念で行った旅行の写真。
指輪…ぬいぐるみ。

「本当に好きだったから。簡単に捨てれないよ」
「…」
「浮気ぐらい我慢するのに…何があったって…あたしは好きでいるのに…」
「…」
「なんで?なんで、あたしじゃ駄目だったんだろう?」


あいつを一番、好きなのはあたしだ。
そんなバカなことを簡単に言えてしまうくらい。
好き。
好きすぎる。

今度の相手は、あたしの知ってる子で。
あたしとは逆で、可愛くて…ひとりじゃ生きていけません。
って感じの子。

「今度の子は、可愛いよ。あいつ好み。」
「へぇー」
「あたしとは逆の…守りたい女?」

別れ際に言われた。
『お前なら、ひとりでも大丈夫だろ?お前は、強いから』

3年も居て…あいつはあたしの何を見てきたんだろう?
あたしは、みんなが言うほど強くもない。
あたしだって、泣きたいし。すがりたいよ?

「あんたも、いつも。あたしと逆のタイプの彼女ばっかだよね」
「そうか?」
「世の中、やっぱそーいう女子のがいいんだろうね」

嫉み。
自分がなれないから、悔し紛れにいい放つ。
言って、後悔して黙り込む。
こんなひねくれた性格。
大嫌いだ。
大嫌い。

「まぁ。男なんてそんなもんじゃねぇの?」
「……」
「可愛くて、潤んだ瞳で見つめられりゃ…堕ちるだろ」
「…そうだね」
「だけど、俺の今の好きな奴は、違うけど」

ノロケ?
人が落ち込んでるのに。
けど、なんだか勝手に親近感。
あたしと同じタイプの、彼女に頑張ってほしくて。

「あたしの知ってる子?」
「うん」
「マジ?がんばんなよ…で。ちなみに誰?」

彼はあきれたようにあたしを見た。