「えー、みーちゃんでも寝癖つくんだ。なんか意外だね。わたしも見てみたかったな」


嬉しそうに話す芽衣。

わたしの心中は一切考えてないように思える。


「俺もちょっと意外だった。篠崎ってクールに見えるけど、意外と抜けてるんだな」


褒め言葉ではないと思うけど、松下の言葉は嬉しかった。

みんなからはクールだとレッテルを貼られてるけど、実際はそんなことない。

だから、クールという言葉で自分を見られるのは嫌だった。


「…あたしだって寝癖ぐらいつくよ」

「そうだな。篠崎も人間だしな」

「…それ、あたしが今まで人間じゃなかったっていう意味?」

「冗談、冗談! 本気にするなって」


ニコニコと笑うその顔は、特に嫌味を感じさせない表情だった。