…何やら、ここ最近聞き慣れた音がする。
手探りすると、携帯の着信音だった。
「みーちゃん、おはよー。珍しく朝寝坊だね。昨日夜遅くまでわたしとメールしてたせいかな?」
電話に出た瞬間、芽衣の元気な声が耳に入った。
「…おはよう…。芽衣はよく起きれたね」
「うちはお母さんが叩き起こしてくれたから助かっただけなんだけどね。みーちゃんのお母さんは?」
「あー、…うちはお母さん仕事あるし、早くに家出ちゃうんだよね」
「そうなの? …あっもう授業始まるよ!じゃあまた後で」
慌ただしく電話が切れた。学校で携帯を使うのは禁止されてるのに、芽衣もいい度胸してる。
お母さんのことはあんまり話したくないから、授業が始まってくれて助かった。
お母さんの仕事はよく知らないけど、とにかく家に帰ってくることが少ない。
あたしのことは放ったらかしにされてる。
何年もこんな状態だからもう慣れたけど。
あたしはため息をついて学校へ行く準備をした。
