「ねぇ」

さくらは手紙を封筒に戻すと、俺の方を向いた。

セミロングに切った艶髪が、ふわりと揺れた。


「…ん?」

「貴方のことも教えてよ」

「俺の?」

「うん。貴方のあの二年半は、どうだったのか」


期待に輝く瞳が
俺を急かす。


「俺の二年半は――…」

「……」

「いや。やっぱ言わない」

「!」


意地悪。と唇を尖らせて

さくらはそっぽを向く。



……言えないよ。


恥ずかしくって
言えるわけない。


あんな

君でいっぱいの日々は――




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