【シルバーリング】



別れの日にあの指輪に出逢えたことは

ツイてない俺達にすれば、なかなかラッキーだったと思う。



「俺は女の人に指輪をプレゼントするのなんか初めてだし」


俺が指のサイズを当てたことを、変な風に勘違いして怒ったさくら。

俺は余裕ぶった微笑みで
彼女の左手を取ると

そっと指輪を通した。


こんな安物じゃ
おままごとだな。


だけど
いつかは……


はは。と、気付かれないように小さく笑った。…俺、めちゃくちゃロマンチストじゃん。



「あっ!! ダメだ!!」

突然思いついたアイデアに、俺は大声を出した。


「な、何よ」

「さくら!やっぱり右手にしよ」


そう言って、さくらの指輪を左手の薬指から抜き取る。

そして右手の薬指にはめて



「さくら、手つなごっ」



俺達の
シルバーリングは


重なった。




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