このまま続くものだと思っていた曖昧で平和な日々を、先に破ったのは

意外にも彼女の方だった。





「――触れて」



フローリングに広がる
ビールの水溜り。



「………」



彼女に掴まれた
指が
熱い。




……嘘、だろ?



これって……



もしかして

さくらも俺を……





そんなわけない。



自惚れるなよ俺。





ああ
でも……




彼女の瞳は
不安定な炎に濡れていて




きっと……



俺も
こんな瞳をしてる。


人知れず
彼女を見つめる時は……。