【真実】



ユリカとは駄目になってしまったけど、俺の中学ライフは相変わらず楽しいものだった。

その後も何人かの女子に告白され、俺はその度、適当に流した。

またユリカのように傷つけるのが怖かった。


俺はどうやら

『大切にする』のが下手らしい。


隼人は優しすぎるよ。優しいだけなんだよ。
そんなことをユリカは言ってたっけ。


そりゃ俺だって思春期の男だし
性欲のひとつやふたつはある。


だけどそれを彼女にぶつけるのは間違っていると思った。




俺に転機が訪れたのは
中3の秋。


そろそろコートが恋しくなる
肌寒い日の放課後だった。



「やっぱり!隼人じゃないの」


俺の真横に仰々しい外車が止まったかと思うと、真っ黒なスモーク貼りの窓が降りて

中から顔を出した厚化粧の女が
俺の名前を呼んだ。



「……マユミさん?」


俺の言葉に
真紅の唇がにこりと歪む。


「帰り?乗りなよ」