【彼女】



孤独そのものだった
小学校時代と打って変わって


中学に入ってからは
驚くくらい簡単に友達が出来た。


まずキッカケは女子達。

『新入生人気投票』なんていうノーテンキな企画が密かに実行され、俺は見事ダントツ1位に輝いたのだ。


俺の周りにはいつも女子が群がり

そしてそのミニスカートからのぞく生足に
サカリのついた野郎どもが群がった。



俺はしだいに
他人との上手な接し方を身につけていた。







「大塚君ってどうして彼女作らないの?」


隣のクラスのユリカが、栗色の髪を耳にかけながら、俺を見た。


「――どうして…って、そりゃあ…」

「そりゃあ?」

「…モテないから」

「はあ?!」


ユリカは大げさに眉を吊り上げ、鼻からフンッと息を吐いた。


「誰が見たってモテまくりの大塚君が、何言ってんのよ。言い訳?」

「何だよ、言い訳って」

「だ~から!彼女を作るのが面倒だから、そんな言い訳してるんでしょ?」


なぜかユリカは機嫌を損ねる。

もういいよ、と顔を伏せた彼女の耳元から、かかっていた髪がはらはらと落ちた。