「大丈夫だって、何もいねぇよ」
「そうじゃなくてー、あたしは幽霊的なものを心配してるの! 何か出そうじゃん」
その辺からニュッて変なものが出てくる可能性だってね、ないわけじゃないよ?
怖いじゃん。きっと出るよ、ここ。
「何、舞子見えんの?」
「いや、見えないよ。見たくもないよ。見ちゃっても見てないふりするよ。」
「じゃあ問題ないだろ。俺も見えねぇし、舞子も見えねぇんなら、いてもいなくても変わんねぇよ」
ん?
そういうもん?
見えなきゃいてもいいって?
冗談じゃない。出来ればいてほしくないでしょ。 うっかり、見えちゃったらどうすんのさ。
「でもさ、いないほうが…」
いないほうがいいじゃん。
そう言おうとしたとき、でこぼこだった道が少し歩きやすくなって、前の方に光が見えた。
「もうつくよ」
うっすらと見える光。
その近くには、何故かポツンとベンチが置いてある。
「とうちゃーく」
満面の笑みの達哉の顔が、照らされて少しだけ見えた。
「わぁ…っ!」
低い木の柵の先に、キラキラ光った夜景が見える。小さな光がたくさん見えて、星空を見ているようだった。
「すごい……綺麗…」
こんなに綺麗な夜景、見たことない。
「だろー?」
「うんっ、すごい!」
クリスマスだから、イルミネーションでよけいにキラキラ光ってるんだろうな。