埃でよく見えなかったが、リュリュカが手にしたのは黒髪の女性が描かれた絵だった
綺麗な人......
ストレートの黒髪で赤い瞳の女性の絵から目が離せないリュリュカ
「この人は誰なのかしら。それに......ん?」
リュリュカは絵に描かれた女性の服装に気がついた
「紫のドレス?もしかしてこの人は魔王の妃?」
そう答えを導きだすと、リュリュカの心がチクリと痛み出した
「魔王......」
リュリュカは痛みに顔を歪ませ、切な気に絵をテーブルの上に置くと、静かに部屋を出た
「なんで胸が苦しいの?」
扉に身を任せて胸元に手を当てる
今日は変なことばかりだ
自分の事が本当にわからない
リュリュカはおぼつかない足取りでもと来た道を引き返す
しかし.....
「どの道だっけ?」
帰り道までわからなくなってしまったリュリュカ
「と、とにかく歩いてみよう!」
止まるよりはと、訳もわからず歩きだす
すると、なんだか見覚えのある所に出て、リュリュカ一先ず安堵した
ゼロは見つからなかったけど、もしかしたら部屋に戻っているのではと淡い期待を胸にゼロの部屋に戻ろうとすると.....
「ん!?」
急に後ろから強い力で襲いかかっていた
鼻と口を覆われ、手や足は固定されて動かない
意識が.......
必死に抵抗するも、眠気がリュリュカを襲い、力が失われていった
誰か.....
身体から力が完全に抜けると、人形のようにだらりと崩れ落ちた

