そして天使は闇へ堕ちる


自分の事は自分が良く分かってる

けど、今ほど自分の事が分からない事は今まで無かった

私は何がしたいの?

リュリュカはゼロに伸ばそうとした手を別の手でぎゅっと掴む

何がしたいのか解らないから、追いかけても私には何もできない

でも......

「......それじゃぁ何も変わらない」

リュリュカはベールを被ると、意を決して部屋を後にした

ゼロが行きそうな場所なんて解らないのに、リュリュカはただゼロを求めて歩き出す

城の者に見つからないように身を隠しながらも前へ前へと歩く

「誰かを捜してるのかな?」

ふと、聞き覚えのある声が聞こえた

「シェゾ様......」

「やぁ。1人かい?」

そこには手を上げて笑顔を送るシェゾがいた

しかも、今回も大人の姿で

シェゾは監視役の兵士を二人引き連れ、笑顔でリュリュカの元へと近づくも、兵士に止められ、少し離れた所で止まった

「お元気そうでなによりです」

「どうも。......で、何をしているんだい?」

「いえ。何も......」

ゼロのことになると何かと突っかかるシェゾ

リュリュカはあえて言葉を濁し、この場をやり過ごす

「陛下は一緒じゃないのかな?」

「.....魔王は部屋にいます」

警戒心むき出しでシェゾの問いに答えると、シェゾは目を細めて小さく笑った

「そうか。では、僕は行くよ。君はなんだか忙しそうだし」

シェゾは一歩リュリュカに近づき、手をとって口づける

え.....

「では」

紳士的な笑みを浮かべてシェゾは通りすぎて行った