「他にも、下級どもに襲われたときもしがみついてきたな」


「あれは怖かったから……。仕方なくよ」


「下級ではないが俺も悪魔だが?」


「あの人達よりは信頼出来るもの」


「お前が拒んだ俺でもか?」


「少しだけよ。少しだけあの人達よりは信頼できたの!」


言ってて恥ずかしくなって顔を背ける


リュリュカはあの時はゼロが自分を助けに来てくれると、なぜか心の隅で思っていた


だから本当に来てくれた時は心から安堵し、その身を委ねたのだ


「リュリュカ、お前は……」


ゼロが何か言いかけたその時だった


ヴァイオレットがワゴンを引いてリュリュカの前に現れた


それからその場で紅茶を入れて、そっとゼロとリュリュカの前に置いた


「失礼します陛下、王妃様。お茶とお菓子をお持ちしました」


「さがれ」


短く命じれば、そっとヴァイオレットは出て行った