そして天使は闇へ堕ちる



しかしゼロはあと数センチと云うところで距離を保った


何もしてこないゼロを不思議に思い、リュリュカは目を開けた


「!」


視界いっぱいにゼロの顔が入ってきて、ドクンと胸が脈打つ


「…………ブサイクな顔」


突如、ぼそりとゼロが呟いた


今、なんと?


ブサイクな顔?


リュリュカにはその言葉を理解するのに数秒かかってしまった


「お、女の子に向かってブサイクはないでしょ!確かに可愛くないけど……。でもさすがに……!」


ゼロに文句を言っていると、ゼロの顔から笑みが見えた


「……何笑ってるのよ」

「お前は変わってるな。魔王である俺にひれ伏すどころか恐れ多くも文句を云うなんてな」


「私は悪魔じゃないもの。それにどんな人から云われようとも腹が立つものは立つの。生きているんだもの、当然でしょ」

違う?


リュリュカは腰に手を当て、ゼロを見上げる


「……当然か」


鼻で笑うと、自嘲気味にゼロが言った