そして天使は闇へ堕ちる



「もういいかな?僕は部屋で大人しくしてるよ」

なにも云わず黙ってるゼロに言い残すと、シェゾは去っていった


"一体なにが陛下をここまで変えたんだろう。彼女特有の香り?それとも彼女自身かな?"


去ったことも気づかずに、その言葉がゼロの頭の中で何度も繰り返された

「魔王?」


ふと心地のよい声がゼロの耳に届いた


振り向くとそこにはリュリュカがいた


「なんで魔王がここにいるの?まだ6時じゃないし、迎えじゃないよね?」


首を捻って悩むリュリュカの姿を見ると、もやもやとした気持ちがスッと晴れていった


「……俺が迎えに行くまであそこから出るなと言ったぞ」


「だって割れた音が聞こえたし、魔王たちが揉めてるみたいだったし」


「別に揉めてない。……それで、あいつに何かされなかったか?」


ゼロはリュリュカの頬に触れ、髪を優しく撫でる

こうしていると何故か安心できた