「……あの男はどうしてる?」
「あの男?あぁ、先代なら大人しく部屋にいるらしい、だそうです」
ゾノの曖昧な返答にゼロの眉がぴくりと動く
「らしい、とはどういうことだ?」
「見張りが部屋に入ろうとすれば強く拒否したそうだ。まったく、何してるんだろうよ、あの悪魔は」
呆れ顔になるゾノ
どうするべきかと腕組みしてゼロを見る
だがゼロはと言うと、表情を動かすことなく書類に目を通していく
「ふん。なら殺せば問題ない。時間も労力も無駄にならなくてすむ」
「さすがにそれはまずいから……。どんな奴でも元魔王なんだから敬意を払わなくてはいけないんだし」
「何が敬意だ。あんなのに敬意など払えるか」
がたりと椅子から離れると、すでに済ませた書類をゾノの前に無造作に置いた

