突如、悪魔たちの足音が止んだ
「その女に触るな」
それは聞き覚えのある声
リュリュカが悪魔界でよく知る人物
そっと瞼を開けて声の主に目をやる
「ま……おう……?」
見覚えのある後ろ姿にリュリュカは安堵する
目の前の悪魔は黒いマントを羽織り、顔には白い仮面を着けていたが、この場に現れた者がゼロだと不思議と確信を持てた
「誰、あんた」
折角ありつけられるはずのご馳走を邪魔された女は笑うことを忘れ、静かにゼロを睨む
「立てるか」
しかしゼロは他の悪魔たちがまったく眼中にないかのようにリュリュカに話しかける
それが気に入らない女はゼロの肩を掴んでこちらへと向かせた
「あんた、無視してんじゃないよ!」
女は怒り狂い、今にも殴りかからんと片手を挙げる
「危ない!」
リュリュカはずっと恐怖で震え、動かなかった身体が無意識に動き、ゼロを庇おうと前へでる
が、ゼロに腕を掴まれて引き戻されてしまった
そしてゼロは空いている片方の手で女の手首を掴みとった

