リュリュカは逃げていた
ただただ闇雲に走り、振り返ることなく逃げていた
高いヒールを履いていたためか、ポキリと音を立ててピンヒールのヒールが折れてしまった
「はぁはぁ……」
横紙を耳にかけて、リュリュカは息を整える
ずっと走っていたことで汗と血が混じり、痛みが酷くなる
「ここは……どこ?」
無我夢中になって逃げてきたために、人気のない所に来てしまったリュリュカ
もともと悪魔界のことなんて知らないリュリュカは、人気のない所に来て完全に道が分からなくなってしまった
「おい!お前はあっちに行け。俺はここを捜す」
そう遠くない所から男の叫び声
「に、逃げなきゃ。殺される……!」
深呼吸をして身体を落ち着かせる
そして靴を脱ぎすてて、ドレスの裾を豪快に破く
その破いたドレスを首筋に当てると包帯代わりに巻きつけていると……
「見つけちゃった」
目の前には若い女が立ちはだかり、氷のような冷たい笑みを浮かべていた
「はじめまして。あれ、そんなに慌ててどうしたの?ドレスも酷いですよ」
優しげな態度をとる女だったが、表情は明らかに優しさを持ってはいなかった

