そして天使は闇へ堕ちる



口調もどこか変わり、陛下と呼んでいたはずが、今は"あいつ"呼ばわり


「ど、独占欲なんて。あの人は私には興味なんてあるはず……」


「ないと、言い切れる?」


言葉を遮り、シェゾはベールをぎゅっと掴んだ


「僕はずっとあいつを見てきたんだ。生まれたときからずっとね?だから知ってる。あいつは誰これかまわず色を与えたりしないってね」


それは不意に行われた


首筋に痛みを感じ、熱くなったと思えば、シェゾはリュリュカの首筋に牙をたてていたのだ


「なっ」


必死に抵抗しても、子供の力とは思えない強さでびくともしない


怖い。逃げたい!


ガタガタと肩を震わせていると、リュリュカの首筋からシェゾが離れていった


血が出ている所を手で抑えて、リュリュカはシェゾから後ずさる