「愛情表現」
「えっ。愛情表現?」
突如発せられた言葉に、オウム返しに訊ねる
「そう、愛情表現。……と、いうよりはこう云った方がいいかな……」
独占欲の象徴だって――
「僕ら悪魔は、愛しい女に自分の髪の色と同じ色のものを相手に贈るんだ」
スッと目を細めると、リュリュカの指にはめられている指輪を指差す
「僕らはこんな装飾品で相手を縛ってはないんだよ。妻にならドレスを与え、自分の物であると相手に見せつけるんだ」
「けど魔王は黒髪じゃ……」
「陛下は特別なんだ。ここでは黒なんて珍しい色じゃないし、恋人のいない女性は黒を纏う事が多いんだ。だから魔王の一族しか持たない、瞳の色を贈ることになってる」
そっとシェゾは立ち上がれば、リュリュカの背後へと周り、白い首筋に腕をまわす
「陛下が紫を贈るのは、姉様が愛しくて愛しくてたまらないんだよ。それはあいつの独占欲だ」
首筋にかかる息に背筋がぞくりとするのがリュリュカにはわかった
それはシェゾに対して、恐怖を感じ取ったせいだ

