カラン
シェゾはリュリュカの手を取り、ゆっくりと歩き出す
「何か言いたそうだ」
「……まぁ。それは当然でしょう?」
急に寸法され、ドレスを着せられ、しかも高そうなドレスを意図もたやすく買ってのけたのだ
「ドレスが気に入らなかった?」
「そんなことは……。久しぶりに別の色を着ることができたし、感謝してます。でも、わざわざ買わなくても」
「……もしかして姉様は、ここでは"紫"がどういう意味を持ってるかしらないの?」
そう言ってリュリュカを近くのベンチへと導く
リュリュカが座ったのを確認すれば、シェゾも隣に腰掛ける
そして、シェゾが何も話さなくなったせいか、しばらく気まずい沈黙が続く
恐る恐る、相手の様子を伺いながら沈黙を破ったのはリュリュカの方だった
「……やっぱり何か特別な意味があるの?」
それはリュリュカがこっちに来てから思っていた疑問
魔王は紫のドレスしか用意しなかったし、自分が魔王の妻だと公にした日に、どこかの娘が紫を身にまとっている自分に対して怒りを持っているようだったし

