そして天使は闇へ堕ちる



「っ……」


「全く影響を受けていない訳ではないみたいだね」


ぷつりと一本の羽を抜くシェゾ


「実験にもらってくよ。あぁ、あと陛下には内緒にしててね。バレればきっと殺されてしまう」


指先で羽を弄びながらそうシェゾはそう言った


そんなシェゾにリュリュカは戸惑いを隠せないようだった


大人びた口調、急に見せる無邪気な笑み、恐怖を感じる行動


悪魔とはこんなにも予測不可能な生き物なのだろうか


「そんなに警戒しないでよ。僕らは姉弟じゃないか」


「……私はまだ、魔王の妻になったと認めてません。それに夫婦の契りを交わしたわけでもありませんし」


「まだ式を挙げてないからね。大丈夫だよ姉様、安心して。結婚は堕天使にならないと出来ないから、堕天後にはちゃんと夫婦になれるよ」


手を握られ、「大丈夫、大丈夫」と囁かれる