「弟?……えっと、あなたもしかして迷子?それなら」
「僕は迷子じゃないよ。れっきとしたこの家の者だ」
「……?」
「ならこう言えばいいのかな。"僕は陛下の弟"だと」
「陛下って、つまりあなたは……魔王の弟!?」
「そうだよ。だから君は僕の姉様だ」
ぎゅっと腰に抱きつかれ、顔を埋められた
じゃれるように抱きつかれ、嬉しいのか、こっちにまで喜びが伝わってくる
「姉様は天使だと聞いたよ。けど不思議だ。普通の天使よりいい匂いがするよ」
埋められた顔が離れ、魔王の弟とは思えない満面な笑みに思わず受け流してしまいそうになったが、大事な事を思い出す
「は、離して!」
リュリュカはシェゾから離れようと肩を掴むが、少年とは思えない力で抱きしめられ、びくともしない
「安心しなよ。僕は平気だから。まぁ、油断は出来ないけど」
「……あなたは一体何が目的なの?」
「目的?ただ僕は興味があるんだ。陛下が直々に選んだ君に。だから会いに来たんだよ。堕天後に会いに来ていいと許可も貰った。……けど堕天してないみたいだね」
回した手を離すと、いまだ実体化している羽根を力強く握り潰した

