そして天使は闇へ堕ちる



「じゃぁ、何かあったら言ってねぇ」


リュリュカをじっくりと見つめた後に、ヴァイオレットは部屋を出て行った


部屋にはリュリュカ、ただ一人


「……はぁ」


ため息が自然と漏れる


「一体、何をしているんだろう」


きっと心配してる…


「父様には心配も迷惑もかけたくなかったのに」

リュリュカはぺちっと、両の頬を叩いて気持ちを切り替える


「待っててください。絶対戻って見せます!」


「どこに戻るんだい?」

「それは決まってます。てんか……え?」


突如聞こえた声に驚き、振り返る


が、誰もいない


「君が陛下の妃かい?」

少し下に視線をずらして見ると、そこには黒髪の10歳前後の少年が立っていた


「えっと……君はだれ?」


「僕はシェゾ。君の弟だよ」


にっこりと笑うと、近づいてきてリュリュカのとなりに腰がけたのだ