あれは確かに本当の笑顔だった
心からの笑みだった
けっして怪しい笑みではなかった
またドクンと心臓が動く
「風邪でもひいたかな」
未だ早く脈打つ心臓に手をあて、片方の手では頬に触れて熱くなる熱を感じていた
「落ち着くのよリュリュカ。そう……これは風邪なんだから。何でもないわ」
そう自分に言い聞かせていると、ノック音と共に明るい声が聞こえてきた
「リュリュカァ起きてるぅ?入るよ!」
ギィーっと扉が開くと軽快な足音が響く
「おはようヴァイオレット。今日も元気ね」
「おはようリュリュカ。あれ、なんか顔赤くない?」
「……」
本当にたちの悪い風邪だ
「ねぇヴァイオレット」
「どうした?」
「風邪薬ってあるかしら?」

