「あのぉ・・・咲希ちゃん、いるかな・・・?」

ん? 誰だろう。


声のする方に顔を向けると・・・


あー・・・たしかあの子は・・・。



うんっ、思い出した!!

乃亜君と同じクラスの長瀬亜依羅ちゃんだ。


亜依羅ちゃんは教室の入り口で咲希のことを探してるみたい。

「咲希、行ってきたら?」

頭に『?』を浮かべた咲希に声をかけた。

「うん。でもあたしあの子とあんまり話したこと無いし、あたしに何の用だろう?」

うん、それはあたしも思ったよ。

「まぁ、行けば分かるんじゃない?」

「じゃぁ行ってくるね!」

そう言って咲希は亜依羅ちゃんのもとへ、走っていった。






これがすべての始まりだった。



でもあたしはこの後どうなるかなんて、この時想像もしてなかった。



すると______



「由愛ちゃん、いる?」


また声がした。こんどは誰だろう?

チラリと入り口を覗くと・・・・・




乃亜君・・・!?





「・・・あ・・愛、由愛!!」

え?  


「何、奏斗?」

「何?じゃねーよ。ぼーっとしてないで、行かねぇの?」


あっ・・・!

あまりにも驚きすぎて、忘れてた!!

あたしは奏斗にお礼を言って乃亜君のところに向かった。