「・・・1つ聞いていいですか」

「ん。言ってくれ」

お願い。
信じてる・・・先輩

「あのブレスレット返してもらえませんか?」

「ぇ?ブレスレット?」

大丈夫。
信じてる・・・
先輩がブレスレット持ってるって。大葉さんに渡してないって
お願い・・・。
待つ時間がとても長く感じた

「ごめん。返せねぇ」

「そっそうですか。分かりました」

先輩を見ているのにボヤけてきた
目に涙が溜まる
その『返せない』って言うのは・・・もう大葉さんに渡しているからですよね?

「・・・優空。俺」

「いいです。聞きたくありません」

「ちょっ聞けよ」

先輩から目を逸らして言葉を聞かないようにする
もういい。自分から言おう

「先輩・・・さよなら。今までありがとうございます」

最後なんだから笑わないと。
綺麗な顔で先輩とお別れしよう
本当はこんな事言うはずなかった、言いたくなんてなかったよ

「優空・・・」

アタシは先輩を背にしてその場を逃げた
これで・・・いいんだよね?
これで。