少年の愛したトロイメライ


顔を上げると、既に教室には自分一人きりだった。

先程の会話の主も、とうに消えていた。


「──帰ろう」


書き終えた日誌を教壇に置いて、教室を後にする。

雨、と言っていたが、廊下から空を見れば、ただの曇り空だ。