どこか残念な気もすれば、心の端で安心もする。

──いけないのだ。

僕にとって、『幽霊屋敷』は『幽霊屋敷』でなくてはならないのだ。

だからもし。

あの窓から覗くのが生きた人間であったなら。

僕はどれほど失望するのだろう。


幽霊の存在を信じているわけではない。

けれど、否定的なわけでもない。

存在が不確かなものほど、何故か人間は惹かれていく。僕はその理論の一例に過ぎない。


だから時々、足を止めては見上げている。