いつも通り、あの屋敷の前を通って学校へ行く。 幽霊屋敷と噂される洋館。花の匂いに誘われて、私は歩みを止める。 相変わらず、門は固く閉ざされている。 ふと視線を感じたような気がして見上げれば、二階の窓から見知らぬ少年がこちらを見ていた。 じっと、哀しそうな顔で。 ゾッとするようなその美しさに、私は目をそらすことが出来なかった。