少年の愛したトロイメライ


二階へ続く階段の先で、キィ、と扉の開く音がした。


「こっちよ」


可愛らしい声が、頭の上から降ってくる。

どうやら、二階へ来いということらしい。

僕はそれに従い、階段を登る。

まるで思考が麻痺したように、僕は見ず知らずの彼女に従順に行動していた。

自分の足音だけが、静寂に木霊する。