屋敷の中は広かった。

和室が沢山並んでいて、
いくつかには、札が掛かっていた。

旅館かな……そう考えていると、
一同はある部屋の前で立ち止まった。
 
襖には、風と凛の名前が書かれた札が
掛かっている。


「ここで三か月間頑張るのよ。
 これが本当に最後だからね……」

おばさんは鍵を開けながら
念を押すように言った。

「食糧を渡すわね。足りなくなったら
 自分たちで何とかするのよ?」

おばさんは私に麻袋を渡しながら、
襖を開いた。
 
そこに見えるのは
先ほどと同じ、一面の漆黒。
 
そうして私達は、
再び闇に踏み込んだのだ。