「だけど....最初はわからなかった。

 何のためにここにいるのかも。

 なんでここにいるのかも。

 病気を知らされた、あの時から。」

そこにはいつもの先輩の姿はなくて。

あの日と同じ、小さな先輩がそこにはいた。

まるで、先輩に出会う前の俺みたい。

自分の存在価値がわからなくて。

なんで俺はこんなことをしているんだろうって、ずっと思ってた。

本気になんてならないって....。

「本当は....」

その時初めて、先輩が俺を見た。

「本当は....ずっと斗亜くんに言いたかったっ」

「.....え?」

先輩はいつもの笑顔を見せながら、一粒の涙を流した。

「斗亜くんっ...好きですっ!」

「っ....なんで...」